骨粗しょう症になると
骨粗しょう症は、老化などが原因となって骨の量が減少してしまう病気です。20代の頃には硬くてしっかりとしていた骨がスカスカになるため、無理な態勢をしたり、ちょっと転んだだけでも骨折することがよく起こります。
中高齢の女性によく見られます
骨粗しょう症は、中高齢の女性を中心に年々増加の一途をたどっています。男性にも起こりうるのですが、患者の8割くらいを女性が占めており、女性ホルモンの分泌が低下する更年期以降にとりわけ多く見られます。女性ホルモンには骨の吸収を緩やかにし、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。閉経後は、この分泌量が減少してしまうので、骨がもろくなってしまうのです。なお、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒なども原因と考えられており、最近では高齢の女性だけでなく、若い女性の骨粗しょう症も問題視されています。
主な検査について
骨粗しょう症が疑われるときは、骨密度の測定、X線検査、身長測定、血液検査、尿検査を行いますが、特に重要なのがDEXA法などによる骨密度の測定です。二種類の異なるエネルギーのX線を照射することにより、骨密度を測定することが出来ます。どの部位の骨密度も高い精度で判定できますが、骨粗しょう症の診断には大腿骨頸部・腰椎の検査がふさわしいと考えられています。当院では大学病院でも取り入れている最新の骨密度装置(DEXA法)を導入しております。
また、骨粗しょう症と他の疾患とを判別するため、背骨のX線写真も撮影します。これによって骨折や変形が無いか、骨に鬆が入ったようにスカスカになっていないかを確認出来ます。
骨粗しょう症の予防と治療
骨に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル量は、20~30歳頃の若年期をピークに、年を重ねるとともに減少していきます。この骨密度が減少をきたすことによって骨粗しょう症といわれる状態になり、背骨が体の重みでつぶれたり、背中が曲がったり、変形による圧迫骨折をきたしたり、ちょっとした転倒で骨折するといった事態を引き起こしがちになります。このようなリスクを予防するには、食生活を見直し、適度な運動を続けることが極めて重要です。
このうち食生活に関しては、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、および骨のリモデリングに必要なビタミンD、ビタミンKを適度に摂取します。カルシウムは1日あたり700~800mg、ビタミンDは400~800IU、ビタミンKは250~300μgが目安です。 また、適度な運動も大切です。骨は、運動をして負荷をかけることで丈夫になります。筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりします。ウォーキングや水泳などの運動が効果的です。激しい運動をする必要はありません。散歩などは可能なら毎日、あるいは週に数回でも十分ですので、とにかく長く続けてください。また背骨の骨折を防ぐためには、背筋を鍛える運動が効果的です。
こうした食事療法や運動療法で効果が得られないときは薬物療法を開始します。現在、使われている薬には、骨の吸収を抑える骨吸収抑制剤、骨の形成を助ける骨形成促進剤、骨の栄養素である各種ビタミン剤などがあります。どんな薬を選び、いつから治療を始めるかについては、患者さん個々の年齢や症状の進み具合を考え合わせながら判断します。
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